第31回『ウェブアクセス分析』

ウェブアクセス分析 2011_12_05

自社のウェブサイトにどれだけのアクセスがあるか?どんな検索ワードで検索されているか?どのウェブサイトのリンクから訪問しているか?これらの情報を無料で簡単に知ることができるサービスがある。グーグル社の提供する、グーグル・アナリティクスである。由紀精密は2006年7月から使い始め、現在も毎週のように確認している。

 

マスメディアに掲載されると、その日から数日のアクセス数がアップする。これを、そのメディアによるアピール効果と見ることができる。今までで一番アクセス数が増えたのは、震災後の計画停電への対応についてNHKのニュース7とクローズアップ現代に連続で取り上げられた期間で、週でならしても平常時の5倍のアクセスがあった。2番目は日刊工業新聞の1面記事の直後で、当時の平常時の4倍。3番目はテレビ東京のワールドビジネスサテライトで人工衛星の特集に取り上げられた時で、平常時の3倍ほどのアクセスがあった。どのメディアにどのように掲載されると、どのくらいの反響があるか、数字で見られて非常に興味深い。ちなみに、この連載がスタートした4月から、じわじわと日々のアクセス数が上昇傾向にある。

 

また、アクセス数だけでなく、どんな検索ワードで由紀精密にたどり着いているかを調べれば、お客さまが何に興味を持っているかをつかめる。会社名での検索が一番多いが、次に「切削加工」「精密加工」というワードが続き、「JISQ9100」(航空宇宙品質規格)、「インコネル」(耐熱合金の名前)といったワードが続く。思ってもいなかったワードが上位に出ることもあり、今後のウェブサイトをどうするか考える上で非常に参考になる。

 

他のウェブサイトからたどり着くお客さまも多い。この場合は、参照元サイトとして調べられる。ここ1年では、切削加工.net(由紀精密の集客用サイト)からたどり着くお客さまが一番多く、次は、産業NAVI(神奈川県経営者福祉振興財団が運営)、その次にツイッター、フェイスブックと続く。自社サイトに誘導するためのサイトが上位に来るのは狙い通りだが、その後にSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が続くのが興味深い。

 

グーグル・アナリティクスでは、それ以外にも、どの地域からアクセスされているか?訪問者がサイトを見ている時間は?-など、さまざまなデータを見ることができる。このように、自社サイトを客観的に数字で評価すれば、さまざまなウェブ戦略が頭に浮かんでくる。今後もしばらくはウェブサイトがトップセールスマンであり続けるだろう。それにしても、これだけの情報が無料で得られるとは、数年前では考えられなかったことである。

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(日刊工業新聞 12月5日付オピニオン面に掲載)