第20回『プレゼン能力を高める』

プレゼン能力を高める 2011_09_05

中小企業といえども、経営者にプレゼンテーション能力は欠かせない。自ら営業マンとしてお客さまに対して行うプレゼン。社員に自分の想いを伝えるプレゼン。他の経営者、株主、銀行に対するプレゼン。相手と状況はさまざまでも、相手にわかってもらえるプレゼンのため、準備に時間を使うのが重要なことは変わらない。

 

私は朝早く起きる。午前2時、3時から行動するのは普通である。目覚ましはかけない。早朝はいろいろなことをじっくりと考えるためには最高の時間で、本連載の原稿も90%以上早朝に書いている。スケジュールは月曜から金曜まで、打ち合わせ、商談、実際に受注している案件の管理などで毎日ほとんど埋まっている。そのなかで、自分でじっくり考えたい仕事は朝にする。その日、その週に、どんな人と会い、どんなプレゼンが必要になるか? 考えながら、じっくり準備をする。

 

プレゼンの準備には、さまざまなメリットがある。会社案内のプレゼンはそのまま自社の良いところ、苦手なところの分析になる。お客さまにはどんなところがマッチすると思っていただけるか? さまざまな方向から考える。結果として、由紀精密の会社案内はお客さまにあわせてバージョンがいっぱいある。社内に対しては月曜日の朝に全員一つの部屋に集めてミーティングを行う。その時にも必ずパワーポイントで資料を作り、わかりやすさを意識してプレゼンをしている。

 

こういった習慣は、インクスに勤めていた当時、新入社員の時から退社するまでの6年半、ほぼ毎週のように社長報告を行っていたため自然に身についた。毎回数十ページの資料を作り、アウトプットが出ていないと叱咤(しった)激励されながらも、毎週新しいものを産み出そうともがき苦しんでいた。もともと人前で話すことは大の苦手。今でも、仕事以外で突然話すことになるとアドリブが全く効かず、いつも後悔する。しかし、しっかりと内容を整理して、資料をまとめ、この内容を伝えたい!という想いが強いプレゼンは、どんなに多くの人たちの前でも適度な緊張のもとで楽しく話すことができる。

 

先日、「CmonoC(茅ケ崎ものづくりサークル)」という連携の仲間4社で、20人ほどの経営者中心の方々を工場見学に案内し、4社それぞれプレゼンを行った。プレゼンのスキルに対して高く評価していただいた。これは、連携を組み始めてから、お互いに、あるいは外部に対してパソコンとプロジェクターを使ってプレゼンする機会を多く持ち、互いに良いところを吸収して切磋琢磨(せっさたくま)してきた結果だ。機会を多く持ち、しっかり準備することを心がければ、プレゼン能力は確実に高めることができる。

20110905

(日刊工業新聞 2011年9月5日付オピニオン面に掲載)